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【体験談】『精神障害者』雇用の実態!就労に向けて障害への理解の重要性!

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より理解が深まる前がき

ダイバーシティ(多様化)が進む今の世の中ですが、それは障害者雇用においても同じです。

今年2024年4月から全企業は障害者雇用率が2.3%から2.5%(40人に1人の割合)に引き上げられました。*詳しくは「【2024年最新】民間企業の障害者雇用率[2.5%へ引上げ]/障害者を取り巻く雇用事情と今後への期待」をご覧ください。

また企業側の障害に対する認知も少しずつではありますが着実に進んでおり、地域の支援機関と連携した雇用を創造したり、自社で障がいに対する合理的な配慮をする企業も増えています。

障害者という大きな括りで視れば、雇用の間口は開けているように感じています。

ただ皆さんご存じのとおり、仕事は人生で多くの時間をともにするものです。

企業から内定をもらい、入社してゴールではありません。

入社後に長い年月を掛けて、心身ともに健康に雇用され続け、職場を通し社会へ貢献することが仕事です。

この記事では「精神障害者」に焦点を当てて、障害者雇用の実態と、就労に向けての大切な心得を解説しています。

本記事では解釈に誤解を生じないよう以下の通りに定義しています。
精神障害者:障害者手帳あり

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1.精神疾患患者数の推移

雇用実態の前に、直近でどれほど精神疾患を抱えている人がいるのでしょうか?

以下が推計患者数の推移を示したグラフとなります。

気分(感情)障がい(うつ、躁うつ、適応障害など)の推計患者数推移
出典:「令和2年(2020年)患者調査の概況」(厚生労働省)に基づき作成
POINT
  • 精神障害の中でも気分(感情)障害は群を抜いて増加傾向
  • 外来患者が増加に起因(約25年で2.4倍)
  • 日本国民の約100人に1人は障害者手帳を所持
  • 障害者手帳は他、身体障害・療育手帳に比べ取得率が高い

このグラフから読み取れるのは精神疾患を抱える人が増加傾向にあることです。その中でも特筆すべきは外来患者数の急激な増加です。

2000年辺りから「うつは心の風邪」のキャッチコピーで精神疾患が広く認知され、それ以降は年々増加傾向にあります。

特に近年、休職や働けなくなる理由として増加している傷病名が「気分障害や適応障害」です。

なお、定義上では気分障害と適応障害は明確に区分されていますが、実際に人の心を相手にすると、その境界線はすごく曖昧で適格に診断を下すことが困難なことから、この記事では同様として扱っています。

この増え続ける精神疾患患者数の中には、障害者として公的に認められ手帳を交付された「精神障害者」も含まれています。

2022年厚生労働省調査によれば、日本国民の約100人に1人が障害者手帳所持者とされ、前回2016年調査時から6年間で実に1.4倍へ手帳所持者が増加しています。(*他障害者の推移「身体障害者:0.97倍/療育手帳:1.2倍」)

殊にうつ病などの気分障害は、生涯を通して15人に1人は罹るとされている、ごくありふれた日常的な病気です。

2.精神障害者の雇用実態

先に別の記事でも紹介している、各障害者の雇用率推移をみてみます。

R5年 障がい別の雇用割合
出典:「令和5年障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)に基づき作成
POINT
  • 平成18年(2006年)以降に精神障害者の雇用が増加
  • 障害別割合では直近で身体、療育、精神の順番
  • 増加の背景には2006年に障害者雇用の法改正が行われた

平成18年(2006年)以降、精神障害者が雇用される機会は増えてきており、直近ではわずかに療養障害者を下回って3番手です。

社会の各障害への認知と受容により、ここ20年で精神障害者の雇用の機会を確実に増やしている事実です。また転換期となった2006年の背景には、精神障害者が障害者雇用としてカウントされるよう法改正の後押しがあり、さらに2018年には義務化されています。

雇用の数値だけを視れば順調のようですが、長い目でみた雇用の実態は残念ながらそう単純ではありません。

3.精神障害者への配慮の難しさ

前がきで述べたように、仕事では就職がゴールではありません。その後、長く働き続けられることが目標となります。

そこで重要となるのが離職率・定着率です。

精神障害者の離職率は早期に高く、また定着率も低い傾向にあります。就職後の経過月数と定着率を視ると以下のようになります。

memo

◆3ヵ月後の定着率

  • 療育障害:85%/身体障害:78%/精神障害:70%

◆12ヵ月(1年)後の定着率

  • 療育障害:70%/身体障害:61%/精神障害:49%

離職率で考えると、精神障害者は約3ヵ月後に3割辞め、約1年後には半数が辞める結果です。

つまり約1年後には過半数が辞めるという深刻な実態です。

この背景には精神障害者特有ともいえる配慮の難しさが浮き彫りになっています。

例えば気分障害には以下のような障害特性があります。皆さんが雇用する立場だとしたら、どう配慮するでしょうか?

気分障害のよくある障害特性
  • 朝がなかなか起きられない
  • 疲れやすい(易疲労性)
  • 倦怠感が慢性的に続いている
  • 集中力が途切れやすい
  • 急な対応を苦手とする
  • 気分の浮き沈みが日によってある
  • 雨の日は落ち込みやすくなりがち

これらはほんの一例に過ぎません。

ざっくりと、少し雑な言い方をすると、本当に気分による身体への異変です。人によってはただのワガママだと思うかもしれません。

これらの障害特性に対して「障害特性のための合理的配慮」とは一体なんなのでしょうか?

4.自身の障害特性の認知が重要

POINT
  • 一般雇用と障害者雇用との違いは合理的配慮が受けられるかどうかの違い
  • 合理的配慮とは甘やかすことではない
  • 配慮を得るためには自身の病識を得ることが最も重要
  • 各症状に対する障害特性の根源は共通する部分が多い

企業も雇用するからには、たとえどんな雇用状態であれ利益をもたらしてくれる人を雇います。

これは健常者も障害者も同じです。

唯一異なる点は、障害者雇用は「各障害に応じた合理的配慮が受けられる」ことです。

各障害の中でも、身体障害者の雇用割合が過半数を占める理由の1つには、その配慮が比較的分かりやすく、また本人も自覚していることが挙げられます。

例えば車イスであればオフィス内の段差をなくすことや、通路の確保などです。耳が聴こえにくいのであれば筆談や文字起こしで対応すれば、障害で業務に支障が出ないようにする配慮が検討しやすいです。

一方精神障害者はというと、上記障害特性の例だと配慮の検討が漠然としていて非常に難しいです。
合理的配慮とは「甘やかす」という意味ではありません。

そこで重要になるのが、自身の障害特性の認知・認識です。

これらを踏まえ筆写は「病識を得ることが何よりも大切」と考えます。

精神障害において病識を得るのは本当に困難です。精神障害は脳の障害ともいわれています。

どんな時にその症状が出るのか?
どうしたらその症状を軽減できるのか?
なぜそう考えてしまうのか?
苦手なことの何がネックになっているのか?

1つの事象に対して徹底的に知り得ることが最も重要です。

掘り下げていけば共通する思考のクセや、行動パターン、軽減方法などがきっとあります。

それらを自身で受容して、絞り込まれた「障害特性の根源」を理解できれば、合理的配慮もそう難しくはなくなっていきます。

ちなみにですが筆写の場合は

「責任感の強さや完璧主義的な考えが強く、自分一人で抱え込む事が多い」

だと認識し、自覚しています。

たったのこれだけです。履歴書の配慮事項にサッと掛ける内容とボリュームです。

ただこの病識を得るために、多く悩み時間を費やしました。自身の思考を追求していくことは苦しく、また容易ではありません。

バラバラだった症状の根源が、案外1つ2つの考え方から来ているのだなと痛感しました。

これを得られれば、合理的配慮も非常に的確に伝えやすくなります。

あとがき

うつ病の人は「1人でコツコツする仕事が良い」とか「静かな環境で仕事をした方が良い」などと言われていますが、これは大きな間違いです。

確かにそんな環境であれば仕事は進めやすいかもしれません。しかしそれが一体いつまで続くでしょうか?障害特性は一人ひとり異なり、求められる配慮も異なります。

これは配慮する側の企業も同じことがいえます。

「単純な作業をさせておけば良い」、「人と接しない業務にすれば良い」、「専門的なことは求めない」などといった配慮で、本当に障害者を戦力として雇用しているといえるでしょうか?

こんな大雑把な考えを合理的配慮と勘違いしていては、障害者雇用枠で働く人の給与はいつまで経っても上がるはずもありません。

長く健康的に働くためには「自身特有の障害特性を知る=病識を得ること」です。

症状にあった環境ではなく自分にあった環境を探せば、これまで短所と思えた部分が長所として大きく開花する可能性を秘めています。

長所と短所は本当に表裏一体です。そのどちらに傾くかは心身の状態に大きく影響してきます。

自身の特性を短所ではなく長所として捉え仕事に取り組めたら、障害者に限らずきっと充実したワークライフを送れるはずです。

さて、いかがでしたでしょうか?

何だか偉そうに書いていますが、筆者もまだまだ道半ばです😅

しかし障害特性を活かすも殺すも、病識を得ることで大きく変わってきます。

この記事で、これまで何か今まで腑に落ちないもどかしさや、生きにくいと感じることへの細やかな導きになれば、筆者としてこのうえない幸せに思います。

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