より理解が深まる前がき
2024年5月初旬現在、ゴールデンウィーク明けで新社会人の退職代行依頼が殺到しているようです。
退職代行とは主にネットで提供されている退職をサポートしてくれるサービスで、退職にあたり会社側とのやり取りから貸与品の返却まで退職者に代わり行ってくれます。
費用は1万~5万円が相場のようで、自らが退職にあたっての手続きを行う必要がないので近年需要が高まっているようです。
つまりこのサービスを利用すれば出社の必要なく退職が可能となるわけです。
退職代行サービスでは4月と5月が繁忙期にあたるようで、この時期には新社会人からの依頼が2 割~6割を占めるとの事。
ここで疑問に思いますよね?
どうして新社会人は入社して僅か1ヵ月程度でスピード退職を決めてしまうのでしょうか。
採用にあたり就活の苦労もあったと思います。
企業側にとっても社員1人の採用に一般的に50万円程度、大企業では100万円以上のコストが掛かるといわれており、職場定着に向けての策を講じています。
近年若者の離職率に歯止めが掛からないといわれていますが、その実態について”若者の要望と企業側の対策とで感じたギャップ”についてこの記事では解説しています。
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1.大学新卒者の離職率の推移
まず大学新卒者を対象とした1年以内の離職率をみてみましょう。令和2年から過去20年間を振り返った離職率の推移です。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html
・ここ20年で新卒者の離職率は低下傾向か横ばい
・新卒者は3年以内に3割辞めるは事実
・近年では情報入手が容易になり選択肢が増えた
就職後、1年以内の離職率の推移をみたら離職率は低下傾向にあるのがお分かりいただけると思います。
この結果は大学新卒者に関わらず、中学卒、高校卒、短大等卒でも凡そ同じ傾向にあります。決して新卒者の新社会人の離職率が増加しているとはいえない事実です。
ちなみに3年後の新規学卒別の離職率は以下の通りです。
大学卒:3割 短大等卒:4割 高校卒:4割 中学卒:6割
ざっくり全体で約4割弱の新卒者が3年以内で退職しています。
もちろんバブル崩壊後の就職氷河期やリーマンショック、コロナショックなどの時代背景も鑑みる必要はありますが、ここ20年の推移だけでみた場合では、それら逆境をも乗り越える若者が多いようにも感じ取れます。
いわゆる”3年以内に3割辞める”と世間ではいわれていますが実態として的を得ているようです。
しかしこの3割が多い/少ないと感じるのは世代によって異なります。
現代では昔とは違い終身雇用も崩壊しつつありますので、1社に人生を捧げるといった若者が少なくなったのだと推察します。その大きな理由の1つとして今では様々な情報入手が容易になりました。
情報が増えると当然比較ができ選択肢が増えます。もっと自分に合った働き方を目指して退職していく若者が増加するのは至極当然な流れだと思います。
2.若者が仕事に対して求める事
”最近の若い奴は根性がない”、”3年間は取り敢えず頑張れ”などと企業の中堅層からSNS等で囁かれていますが、今の若者は仕事に対して何を求めているのでしょうか?その疑問を退職したいと思う理由から探っていこうと思います。
参考URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-h30_gaikyou.pdf
・待遇が悪ければ良い職場を検討する
・仕事より自分の価値観が優先
約半数を占める理由のトップ3は以下です。
1位:賃金条件が悪い
2位:労働時間、休日、余暇を充実させたい
3位:自分に合っていない
この結果をどう思うかは取り敢えず置いておき、純粋に若者の声として聞いてみたらどうでしょう?
”仕事よりも自分の価値観を大切にしている”と思いませんか?
今の若者は仕事も大切だけど、それ以上に自分が納得できる待遇ではないと満足でないのです。それは誰だってそうですよね。
1度きりの人生ですから自分の気持ちに嘘をついてまで働こうとは思いません。
3.職場定着に向けて企業側の対策
若者が自分の価値観を大切にしている事が分かった所で、それに対して企業側も必死になって人材流出を防ぐ手立てを講じています。
中小企業から大企業まで含めてこの問題は会社存続に関わるものです。実に7割以上の企業で職場定着に向けた対策をしているとの結果が出ています。
その対策内容が以下となります。
・企業側は新人との関わり方を重要視している傾向
・若者の要求に沿った職場定着対策かは疑問
では若者の時と同様に半数を占めるトップ3は以下です。
1位:職場での意思疎通の向上
2位:本人の能力、適性に合った配置
3位:採用前の詳細な情報提供
各企業がどの程度この内容に真剣に取り組んでいるのかは分かりませんが、客観的にみると”企業側は新人との距離を縮めようとしている”感じがします。
それが決して悪いわけではありませんが、特にそう思わせるのが1位の意思疎通と3位の詳細な情報提供です。
うちは新人さんの思いを理解しようとしてます!
それと同時に、うちの事も知ってもらえるように努めています!
みたいな感じで新人と企業との距離を、意思疎通や情報提供を以ってして縮めようとしているのに注力しているように窺えます。
この分かり合おうって感じの取組みを今の若者はどう感じるでしょうか?
何はともあれ、各企業はこのような手段で職場定着の向上を目指しているのが実態となります。
4.若者の価値観に企業側の対策が合ってない
結論からいうと、企業側が若者の価値観を重要視した対策が取れていません。
両者の食い違いを若者と企業側の対策から簡易的に図示化してみました。
・若者の要望トップ2の対策が出来ていない
・要望順位が低い方に対策が強化されている
・要望トップ2が離職原因になっている可能性が高い
このチャート赤色部分が若者の要望と企業側の対策で整合が取れていない部分です。
実はこの部分は若者の仕事に対して求める事のトップ2の内容の部分です。つまり企業側は若者のトップ2の要求に応えられていないといえます。
続いてオレンジ色の部分は逆に企業側が若者に対して過剰に対策を行っている部分です。
言い換えれば大して重要ではない事に時間とお金を費やしている対策といえます。
このオレンジ色の面積が一番広くなっているのは一目瞭然ですね。
青色の所は両者の食い違いがない部分であり、若者の要求に対して企業側がちゃんと対策を取れている事を表します。
概ね企業側は応えられている感じですが、簡易的に図示化しただけなので、若者が仕事に対して求める事のトップ2を取りこぼしてしまっている影響度までは分かりません。
私見になりますが、トップ2の取りこぼしは致命的だと推察します。
あとがき
近年すさまじい情報量が飛び交う中で、若者はそれらをキャッチして自分の境遇と照らし合わせます。
それが彼らの生きる価値を高め、そこに合わないものは容赦なく切り捨てられていく傾向にあります。ある意味では人間らしい生き方をしています。
しかしその変化についていけない企業はどんどん若者から見放される世の中になっています。
時代が変わればニーズも当然変化します。それはどんな時代も同じです。
これからの日本経済、企業を支えていくのは今の若者達です。
たとえ身勝手と思える要求であっても、柔軟に対応できるよう企業側の努力が若者の早期退職への歯止めへの糸口となります。
急速に多様化されてきた現代の働き方の中、新社会人の意見・意思を真摯に受け止められない企業は、そう遠くない未来、後継者問題で悩まれる事となるでしょう。
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