より理解が深まる前がき
2024年2月15日。内閣府より各国の経済状況を判断する指標の1つである名目GDP(国内総生産)速報値が発表されました。
この発表を受け、2023年通年世界GDPランキングは首位から順に『アメリカ、中国、ドイツ、日本』となり、この年日本はドイツに抜かれ世界第4位へ順位を落としました。
過去を振り返れば2010年には、それまで世界2位だった日本は中国に抜かれ第3位へと転落。以降、10年以上に渡り3位の座を守ってきましたが、その椅子も2023年にはドイツへ引き渡す結果となりました。
2023年はコロナが第5類へ移行し、名だたる大企業が軒並み過去最高収益を四半期毎に更新し、日本経済の活性化が進んできたと筆者は感じていた矢先、このニュースはまさに青天の霹靂でした。
日々身を粉にして働いている我々日本人。かつては経済大国として名の知れた日本は、なぜ転落の一途を辿っているのでしょうか?
この記事では各統計データから、日本の働き方の特徴や変化について解説しています。
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G7実質ベース2022年通年調査結果一覧
本記事ではG7における実質GDP・労働力人口比率・時間あたりの実質GDP・年間労働時間の調査結果を用いて日本と他国を比較しています。
*G7実質ベース最新版「2024年5月24日現在」
資料:GLOBAL NOTEを参考に作成
1.実質GDP
最初は前がきでお伝えしたGDP(国内総生産)です。
ここでは内閣府の発表した名目GDPではなく、より経済成長を知るために有効な実質GDPを用いて、主要先進国G7で比較しています。
・名目GDP:国内で産出された付加価値の総額
*『付加価値=販売価格-原価・外注費等』
・実質GDP:名目GDPから物価影響を除く総額
・G7:世界的問題解決を目的とした先進7ヵ国
*日本、米、独、伊、仏、英、カナダ
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-1332.html
・30年以上アメリカが実質GDP首位
・アメリカは2位中国にも圧倒的差
・アメリカ以外のG7は概ね横這いで推移
30年以上に渡りトップに君臨するのは経済大国アメリカです。
G7はもちろん全世界と比較しても、右肩上がり成長性と、他を寄せ付けない圧倒的存在です。
世界2位に18年腰を据えている中国でさえ、直近10年ではアメリカ実質GDPの30%前後減と大きく水をあけられています。
*中国はG7に属していませんが比較用として掲載。
その他5ヵ国と日本を比較した場合、ここ30年で大きな変化はみられません。
どこの国も横這いか、微増傾向にあるといった所です。
2.生産年齢 労働力率(15歳-64歳)
では続いて、実際に働いている人口は各国によってどう変化しているのでしょうか?
国民数が異なる国を比較するため、付加価値を生み出す労働力人口は考慮する必要があります。
生産年齢人口とされる15歳-64歳に対する、実際に働いている/働く意思のある労働力人口15歳-64歳の各国比率が以下となります。
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-7471.html
・生産労働人口に対する労働力人口比率は日本首位
・両立支援制度の改正による女性雇用安定化
・60歳以上を労働力として雇用継続の促進
・アメリカは労働力人口比率は低下傾向
日本は誇らしい事に世界首位です。
さらには増加傾向にあり、2012年あたりからは急激に上昇しています。
この急上昇の要因として考えられるのが、女性と高齢者の働き手の増加が挙げられます。
女性においては、育児と仕事の両立支援制度が段階的に改正されています。
育休制度、時短勤務、男性の育児参入など、出産後の女性の社会復帰・雇用継続ができる社会環境が背景にあります。
また高齢者においては、企業は65歳まで働く機会を提供する措置が課せられ、2025年より義務化されます。
これに伴って従来60歳を定年としていた企業は定年制廃止、定年65歳以上、継続雇用制度などを検討しなければなりません。
また年金とも兼合いもあり、企業はシニア従業員の賃金見直しも必要となります。
これら国の援助もあってか、日本は生産年齢人口の80%以上が労働力人口として確保されており、他国と比較し優位な立場にあるといえます。
一方で経済大国アメリカは、他国と異なり減少傾向にあります。労働者人口比率は減少しているのに関わらず実質GDPは右肩上がりとなります。
3.労働時間あたり実質GDP
さて労働者人口比率が減少しながらも、常に実質GDP首位を走り続けるアメリカは日本と何が違うのでしょうか?
以下は各国の労働時間あたりの実質GDPになります。
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-10473.html
・労働時間あたりの実質GDP=生産性の指標
・日本はG7で30年間以上最下位
・米、独、仏は生産性が良い
・日本は時間を掛けて付加価値を生み出す傾向
労働時間あたりの実質GDPは以下公式で算出されます。
『労働時間あたり実質GDP (US$/h)=実質GDP(US$)÷年間労働時間(h)』
上記公式より1時間あたり、どれだけ実質GDP(付加価値)を生み出しているかの指標となります。
言い換えれば”どれだけ効率良く付加価値を生み出しているか”の指標ともいえます。
先ほどアメリカの労働力人口は減少していると述べましたが、時間あたりのGDPは上昇しています。
つまり労働力人口は減っても効率良く労働ができているといえます。
一方で日本をみた場合どうでしょうか?
残念ながらここ30年最下位です。上位3ヵ国との差は30%程度あります。
G7の中で日本は最も生産性(効率)の悪い働き方をしている国と捉える事ができます。
労働力人口比率は高いにも関わらずGDPが伸びない理由はこの”生産性の悪さ”が要因にあるといえます。
残念ですが、これでは前がきの名目GDPがドイツに抜かれてしまうのも納得です。
4.年間労働時間
日本の生産性が悪いのが分かりましたが、前述した公式の分母となる年間労働時間は他国と比較してどうなのでしょうか?
参考URL:https://www.globalnote.jp/post-14269.html
・日本の年間労働時間はG7で4位
・日本の年間労働時間は減少傾向にある
・労働時間が一番少ない国はドイツ
・労働時間増減が単純に実質GDPに直結しない
この結果では日本はちょうど真ん中の4位になります。
他国と比較して、特段長時間労働といったわけではなさそうです。
また30年前と比較すると年間労働時間は減少しています。これは朗報です。
さて最も働いていない国(失礼ですが…)はどこでしょうか?
それはドイツです。日本より年間労働時間が短くてもしっかりと付加価値を生み出しているのです。
これこそ理想とする働き方ではないでしょうか?
多くの人が同じ売上なら労働時間が短いに越したことはないと考えると思います。
日本とドイツの働き方をよくメディアで比較されますが、その理由はココにあると思います。
逆に最も働いている国はアメリカです。
時間あたりの生産性が最も良く、長時間働くわけですから不動の1位には納得です。
日本年間労働時間を基準としたらアメリカは13%増、ドイツは17%減です。
しかし実質GDPの結果には、単純に年間労働時間の増減に直結していないのが良く分かります。
あとがき
本調査では4つの項目結果より、日本と他国の働き方の特徴・違いをみてきました。
各メディアでは、他国と比較して”日本の働き方は効率が悪い”や”日本は労働時間が長い”といった意見をよく目にします。
事実、時間あたりの実質GDP結果より生産性(効率)は良くありません。
労働時間につていは特段高いわけではなく、むしろ減少傾向でした。
1つひとつ事実を紐解いてみると、そこには何かしらの要因が垣間みえます。
ある特定の情報だけに基づき判断をするのは、本質的原因を霞ませてしまいます。
日本の経済成長の妨げる要因の1つに生産性の悪さは確実に寄与しています。
しかしこれは1つの要因に過ぎず、もっと深く掘り下げれば生産性を悪くしている原因まで辿りつけます。
この記事を通して、今ご自身の働いている職場環境の漠然とした不満や悩みへの解決の糸口になり、より良い働き方への手助け、チャレンジへの参考となって頂ければ幸いに思います。
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