より理解が深まる前がき
働き方改革関連法が段階的に施行され、多様なニーズへの働き方が全企業を対象に推進されています。
多様なニーズに挙がる「残業」については意見が分かれる1つの例です。
意欲的にバリバリ残業して手取りを増やしたい人もいれば、全く残業なんかしたくない人も存在します。
時代の流れは完全に後者の人を後押ししていますが、ワークライフバランスの充実、従業員のメンタルケア、見通しが立ちにくい育児・介護の両立などの観点から考えれば、残業は必要最小限に留めるよう各企業は努める必要があります。
筆写の考えでは、日本の「残業を良しとする文化」から「残業を悪しとする文化」へ現在移行されているのかな?といった感じです。
この記事では残業にまつわる関連法から、残業が少ない企業へ転職を検討している人が求人票から分かる企業の残業度について解説しています。
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1.働き方改革による残業是正処置
2019年に施行された「働き方改革関連法」で定められた取決めで、各企業へ残業是正処置へ向けた労働基準法の改正が行われました。
主に大企業から適応され、翌年2020年には中小企業へ展開、そして今年2024年4月から除外されていた建設事業、自動車運転業務、医師などにも適応されました。*建設事業、自動車運転業務、医師などは別途是正処置あり
施行された残業是正処置の概要については以下となります。
出典:「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」(厚生労働省)に基づき作成
1-1.法律上の時間外労働とは?
最初に時間外労働についての定義を知る必要があります。
- 法定労働時間:1日8時間/週40時間
- 法定労働時間を超えた労働が法定外労働時間(時間外労働)
- 法定外と所定外労働時間(各社就業規則)は異なる
法律でいう時間外労働(法定外労働)とは1日8時間または週40時間を超えて労働した時間のことです。
ここで誤解を招きやすいのが所定外労働時間の存在です。
所定外労働時間は各企業の就業規則に準じた実労働時間です。1日7時間の企業もあれば7時間半、7時間25分と企業により様々です。
例えば1日の所定労働時間が7時間の企業であれば、8時間労働した場合は1時間の残業(所定外労働時間)となりますが、法定外労働時間で考えた場合は8時間/日なのでカウント0となります。
ここは最初に注意をしておきたい重要なポイントです。
余談ですが所定外労働時間に残業代を支払う企業が一般的ですが、労使合意により「法定外労働時間のみに支払う」との取決めがあれば企業主は支払う必要はありません。
1-2.法定外労働をさせるために事業主が必要なこと
- 労使協定を締結させ労基署への提出が必要(36協定)
- 36協定により月45時間/年間360時間の法定外労働が可能
- 法改正により上限時間規制と罰則が追加
会社員であれば多くの人が体験のある法定外労働(以下、「残業」)ですが、事業主は従業員を残業させるために、事前に労使間で協定を締結し、管轄の労働基準監督署へ届出をすることで始めて可能となります。
労働基準法第36条に基づく協定であることから一般的には36(サブロク)協定と呼ばれています。皆さん聞きなじみのあるアレですね。
会社と従業員側との同意があり、その同意を以って労基署へ提出して労使間での協定が効力を発揮します。
この労使協定により月45時間/年間360時間の制限の中で残業が可能となります。
当然のことながら、この制限を超えて労働させた場合は労働基準法違反となり罰則が生じます。最悪の場合は従業員からの訴訟問題、社会的信頼を損ねるといった事業存続を揺るがす大問題へと発展しかねません。
この法律による上限規制と罰則が2019年新たに加わった内容です。
逆にいえば改正前は無法状態だっとといえます。
1-3.特別条項付き36協定
臨時的な特別な事情がある場合に限り月45時間/年間360時間の制限を緩和する「特別条項付き」36協定を労使間で締結することができます。
流れは前述した36協定と同じですが、残業規制時間が大きく緩和されます。
- 時間外労働が年間720時間以内
- 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
- 時間外労働と休⽇労働の合計について2ヵ月平均,3カ月平均,4カ月平均,5ヵ月,平均,6ヵ月平均の全てが1⽉当たり80時間以内
- 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは年6回
これにより残業規制はほぼなくなったと言っても差し支えがないと感じています。
この「特別条項付き36協定」も同様に法律による上限規制と罰則が2019年新たに加わった内容です。
会社側から特別条項付き36協定を前面に押し出され残業を強いられる場合、事業主は「働き方改革の趣旨を理解しているのか?」と疑問符が残ります。
◆特別条項付き36協定締結の条件
引用:「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」(厚生労働省)
特別条項付き36協定締結の条件には以下の文言が含まれています。
「通常予見することのできない」
「恒常的な⻑時間労働を招くおそれがあるもの」
これら文言が訴えていることは、例えば「年度末の時期」「4月~9月のシーズン」などのような、恒常的な繁忙期は含まれないはずです。
以下で詳細を述べていますが、求人票の特別な事情・期間等に記載されている内容に、これら予見することが容易な事情に関しての記載があれば、従業員に対する安全・健康への配慮が軽薄だと読み取ることができます。
2.求人票から残業時間を推察
残業に対する世間の考えは変わりつつありますが、前述の通り法律に則った場合でも単月で100時間未満であれば残業は可能です。
ご自身の心身の状態、家庭の都合、両親の都合などを考慮すれば月20時間以内の残業が妥当なところではないでしょうか?
目安程度となりますが、残業の多さ(度合い)はある程度求人票から推察することは可能です。
以下がそのポイントをまとめた内容となります。
画像引用元:「求人申込書の書き方」(ハローワーク)より引用し加工
2-1.残業度:低
特別条項付き36協定の締結が「なし」となっているケースで残業が月平均5時間程度であれば、残業なしか、あっても記載通りの時間以下程度の残業と推察できます。
念押しに各支援機関などを通して希望する部署の実際の残業時間を把握できれば、より安心感は高まります。
ちょっとした残業ならOKという人向けの求人だと思います。
2-2.残業度:中
特別条項付き36協定の締結が「なし」となっているケースで残業が月平均20時間程度であれば、多少月の変動があれど概ね30時間以内に収まっていると推察できます。
事前に記載されている平均残業時間が希望する部署かどうかは確実に確認しておいた方が良いでしょう。
ある程度残業があって手取りを増やしたい人向けの求人でしょうか。
2-3.残業度:高
特別条項付き36協定の締結が「あり」となっているので、残業が少ない企業を求める人にはまず向きません。
決して企業の良し悪しを判断しているわけではなく、残業を望まないというスタンスの人であれば除外した方が無難といえます。
また特別な事情に「繁忙期」と記載してあります。
前述した恒久的な繁忙期であれば特別な事情には該当しません。
あとがき
多様化する働き方の中で求められることは「自身の譲れない条件」を知ることです。
例えば
「絶対に子どもの行事には参加したい」
「いつかは両親の介護の手伝いをする」
「心身を大切にしながら長く働きたい」
などといったような明確な条件があれば、そこに「残業」がどう関わってくるかが判断できます。
残業に限らず「外出は控えたい」であれば在宅勤務可の企業。「とにかく稼ぎたい」であれば給与面が良い企業。と絞り込むことができます。
最初の篩がけとして使っても良し、数社希望する中から優先順位付けする篩がけとして使っても良し。何かしら軸を1本でも多くもっていると求人票のどこを見るかが自ずと分かってきます。
この記事ではその軸が「残業が少ない企業」でしたので、求人票でまっ先に確認したいのは時間外労働時間に関する項目ですよね。
入社後は長い長い仕事人生になるわけですから極力希望する環境で働きたいものです。
さて、いかがでしたでしょうか?
この記事が転職を検討中の人や現在求職中の人にとって、何かしらヒントを得られる内容であれば幸いに思います。
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