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【大人の発達障害】が引き起こす二次障害が精神障害では?ASD/ADHDの特性

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より理解が深まる前がき

近年「大人の発達障害」が話題となってきており、ASD/ADHDといったワードを見聞きする機会が増えてきたと感じます。

発達障害といったら幼少期の概ね12歳くらいまでの子どもの障害だと感じている人が多いのではないでしょうか?

実は筆者もそのようなイメージで認識しており、社会人になった今となっては縁のないことだと思っていました。

しかし自身の精神障害を深く調べていくうちに「精神疾患の根源は発達障害にあるのでは?」と考えるようになりました。

この記事では「大人の発達障害の実態と、精神障害との関わり」について解説しています。

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1.発達障害とは?

少し話は逸れますが、発達障害は身体、療育(知的)、精神障害の3種類のうち、どこに属するかご存じでしょうか?

発達障害を広義的な意味で捉えれば精神障害に分類されています。

つまり発達障害が認められた場合、精神障害者手帳を交付されることになります。

筆者は「療育障害に分類されるのかな?」と最近まで思っていましたが、皆さんは如何でしたでしょうか?

そんな発達障害の代表的な症状と、各症状の割合について以下にまとめています。

代表的な発達障害

出典:2019年「発達障害の理解」(厚生労働省)を基に作成

発達障害者支援センター新規相談者の診断名割合

出典:2017年度厚生労働科学研究費補助金(障害者総合研究事業)「成人期発達障害者の生活実態に関する調査」(厚生労働科学研究成果データベース) を基に作成

地域発達障害者支援センター資料を基に考察

POINT
  • 発達障害は主にASD,ADHD,LDからなる
  • ASD:自閉スペクトラム症
  • ADHD:注意欠如多動症
  • LD:学習障害
  • 支援センター新規相談者では8割がASDかADHD
    ASD:52%/ADHD:26%/LD1%未満
  • 他精神科併発を合わせるとASDかADHDに2分される
  • 症状別相談者数対比は2(ASD):1(ADHD)
    *その他精神科併発を合わせても2:1の割合

筆者も混同していた療育(知的)障害との違いは「知的発達の有無」です。

一般的な知的機能(IQなど)が平均より顕著に低いことにより、日常生活に制限がある状態を指します。

それに対して発達障害は「特定機能(言語、運動、社会的スキルなど)の発達の遅れ」がある状態を指します。

同じ脳障害であり混同してしまいそうですが、定義上ではこのように明確な違いがあります。

発達障害の症状は、本調査結果では完全にASDかADHDかに2分されており、2:1の割合でASDが多くなっています。

それでは大多数を占めるASDとADHDについて深堀りしていきます。

2.ASDとADHDの違い

ASDとADHDの構造イメージとしては以下の図のように筆者は捉えています。

ASDとADHDの構造イメージ

出典:2017年度厚生労働科学研究費補助金(障害者総合研究事業)「成人期発達障害者の生活実態に関する調査」(厚生労働科学研究成果データベース) を基に作成

完全なる独断ではありますがASDを思考型、ADHDを創造型と考えれば非常に理解しやすいと思います。

POINT

◆ASD:自閉スペクトラム症

  • こだわりが強く、偏りがある
  • 変化への適応が苦手
  • 物事の本質を考える
  • 学者肌、職人気質

⇒ASDは「思考型」といえる

◆ADHD:注意欠如多動症

  • 注意力の散漫、集中できない
  • 他の事が気になる
  • 我慢、待つことが苦手
  • 別の事に関連付けてしまう

⇒ADHDは「創造型」といえる

例えばASDとADHDの人にこんな依頼をしたとします。

依頼:ちょっと月末の集計を急いで仕上げておいて。

ーASDさん心の声ー
月末の集計だな。よし、エクセルでパパっと済ませよう。あれ?でも今してる仕事より優先かな?どこまで仕上げたらいいのかな?グラフ化した方が分かりやすいよな?最終的にはパワポにしとく?んん…もうちょっと詳細が分からないと取り掛かれないな…

ーADHDさんの心の声ー
OK!月末の資料は確かここのフォルダに… ん?なんでここのフォルダにこのファイルがあるんだ?どれ、開いてみよう。あ!これ前に探してたファイルだ!これ分かりやすいように別のフォルダに移動しとこう。ついでに全部整理しておくか!

少し極端に書きましたがイメージとしては伝わりやすいかと思います。

memo

◆ASDさん

  • 思考型のASDさんは、月末集計を「いつまで、どこまで、どうやって」のように納期や完成度、方法に悩んでいます。集計作業をすることは理解していても、それをどうこなすかを消化できていません。

◆ADHDさん

  • 創造型のADHDさんは、集計作業の途中で別のことが気になってしまい、以前見失ったファイルを発見したことをきっかけにファイル整理を始めました。もはや別のことが気になって当初の月末の集計の目的を忘れていますね。

こんなふうに思考型と創造型を考えると分かりやすくなると思います。

では万能型としたASD+ADHDは?

ここでの「万能」の意味ですが、双方の特性を持ち合わせているということです。

前提として発達障害の中での分類なので、やはり生きづらさや自身が他人と違い苦労をしている障害の分類の一部です。

むしろ双方どちらかだけの特性を持ち合わせている人の方が少ないと感じます。

併存率は50~60%以上との報告もあります。

万能型とは発達障害の枠の中でのオールラウンダーという筆者の解釈です。

3.ASDやADHDは特別なのか?

各種文献でさまざまな見解があるため一概には言えませんが、成人のASD、ADHDの発生率は「ASDが1~2%、ADHDが2~4%」と考えられいます。

精神障害と同様、決してめずらしい症状、疾患ではありません。

今は広く認知されているので「もしかしたら自分もそうなのでは?」と感じる人も少なくないと思います。またASD/ADHD診断テストなんかもネットによく転がっています。

それくらいごくありふれた症状であるため、疾患として認知している人が少ないのだと推察します。

memo
  • 症状:他人に分からない主観的な変化(吐き気、めまいなど)
  • 疾患:他人、自身にもはっきりと分かる病気

前述したASD/ADHDの特性を知れば分かるように「誰にでもある特性」です。

服へのこだわり、車への強い関心、ポカミス、ソワソワする感覚…

つまりASDやADHDは何ら特別な症状ではなく「その人の個性」に過ぎません。

ただ、その傾向の強さの度合いが著しく高いことにより日常生活に困難が生じているのです。

4.なぜ今増加しているのか?

ただの個人の特性であれば、今になって増加傾向にあるのは少し不自然ですよね?

筆者はその背景に、多様化した今の日本社会に起因していると考えます。

その裏付けに発達障害支援センターへの新規相談者の年齢分布を視てみましょう。

発達障害の診断年齢分布

出典:2017年度厚生労働科学研究費補助金(障害者総合研究事業)「成人期発達障害者の生活実態に関する調査」(厚生労働科学研究成果データベース) を基に作成

POINT
  • 20代の新規相談者が圧倒的に多い
  • 社会人として世に出ていく年代
  • 20代までが70%を占める
  • 情報量が多様化を生み出す

多様化を生み出す根源は何か?それは情報量です。

10年単位で考えても、目まぐるしい勢いで情報を得る機会は増えました。

情報を得れば得るほど、違う世界が観えてきます。ではそこで何が起こるか?

「自身に合った環境への追求です」

これは必然的なことです。

つまり自身の特性を置き去りにして、身をおく環境に興味・関心を強く求めるようになります。

「あの会社ならもっと給料が上がる」
「今の仕事は自分のスキルが役に立ってない」
「なんで休日に出勤する必要あるんだ」

ニュース、ネット、SNSなどから溢れ出す情報に自分の環境を照らし合わせ、そのギャップに落胆し、若者の早期離職、定着率の低下、モンスター社員などが生まれたのだと推察しています。

その結果、自身、両親、知人、ネットなどから「自分に何か問題があるのでは?」と、支援センターの門を叩くのではないでしょうか?

当然社会に出るということは学生時代とは全く異なります。

学生であれば何か問題が起きても基本的には保護者の責任となります。

しかし社会人になればその責任が大なり小なり自分自身に圧し掛かります。

その重圧に耐えられない場合、その背景に発達障害が潜んでいるのではと考えます。

社会全体で多様性を認める動きが今現在進行中です。本来そうあるべきはずですが残念ながら未だ道半ばというのが実態です。

5.発達障害と精神障害

筆者は発達障害と精神障害の関連性があると思えて仕方ありません。

以下が発達障害が精神障害を併発させる構造イメージです。

ASD/ADHDと精神障害の構造イメージ

出典:2017年度厚生労働科学研究費補助金(障害者総合研究事業)「成人期発達障害者の生活実態に関する調査」(厚生労働科学研究成果データベース) を基に作成

ASDとADHDが併発するように、精神障害も併発しているのではないか?という考察です。

まずASDとADHDの特性は長所であり短所でもあるということ、そして相互関係にあるという側面を持つということです。

ASDの「こだわりが強い」や「興味・関心の偏り」は専門分野では長所です。
長所として活きた場合、ADHD特性の「すぐに調べたい」「我慢ができない」などが表面化します。

一方でマルチタスクや業務変更などは苦手とし短所となります。
短所となった場合、ADHD特性の「集中力できない」「納期を守れない」などが表面化します。

このように一見真逆のような特性でも相互関係にあり、またそれぞれの長所と短所を増幅/減少させることもあり得ると考えます。

ただしここでネックとなるのがASDの特性です。

ADHDの特性は成長するに連れて、ストレスを抱えながらもある程度は自制することが可能です。

しかしASDの特性は「その人の思考・個性」が色濃く反映されているため、そこを矯正させられるのは耐えがたいストレスです。

ここで発生するストレスが二次障害として精神障害を併発させているとの考えです。

「精神障害の原因を追究すれば、その根っこには発達障害があった」との見解になります。

あとがき

前述したASDとADHDの割合についてですが、支援センター相談者と一般的にいわれている割合が逆転していることにお気づきになりましたか?

memo
  • 支援センター:2(ASD):1(ADHD)
  • 一般的見解:2(ADHD):1(ASD)

支援センターに相談するくらいですから、それは相当な生きづらさや苦労を抱えていることと思います。

行動として表面化するADHDは自制が利かなくなって支援窓口へ。
一方表面化しづらいASDは自身の思考が変えられなくて支援窓口へ。

この割合の違いは「表面化する/しない」の違いではないでしょうか?

特性上、表面化しやすいADHDは自他ともに専門機関への間口が広いです。

逆に表面化しない脳内のこととなると専門機関への間口が狭いと感じます。

さて、如何でしたでしょうか?

脳の中の問題となるとざまざまな症状が併発しており、どれが根源なのかを探るのは非常に困難なことだと感じます。

ただ「苦しい」「生きづらい」といった自覚症状があれば、専門機関を受診するのが先ずは第一歩となります。

この記事が「その一歩」が踏み出せる内容であり、参考となっていただければ幸いに思います。

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